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調査を進めていくにつれ、柴崎に関してはパワハラ、セクハラの疑義のある事案がいくつも上がってきて、城ヶ崎はその調査結果を人事部に提出した。
おそらく姫宮商事の社風からすると、それを放っておくことはないだろうと思った。
もちろん、資料を提出した城ヶ崎の立場も慮ったところはあっただろうが。
姫宮商事の人事部からは今回の案件については、アドバイザーとして正式に依頼を受ける。
アドバイザーとは言っているが、もしも訴訟などになればもちろんすぐに対応する立場として、だ。
優羽が倒れたことだけではなく、それ以外にもかなりの事案があったことで、会社もそのままにしておくことは難しいと判断した結果だった。
人事部とも連携を取りながら、例の法務部の女性に城ヶ崎は声をかけた。
「少し、お話がしたいんですが。例の件で」
「ええ。いつでもお話します」
「では、お時間頂けますか?」
城ヶ崎に声をかけられた女性は浮かれて付いてくる。
「城ヶ崎先生、どちらに行かれるんですか?」
ふっ、と笑った城ヶ崎は会議室のドアを開けた。
「こちらですよ」
会議室にでも連れ込まれると思ったのだろうか。中に人事部の面々がいたことで、女性は入口で足を止めた。
「どういうことです?」
キッと女性は城ヶ崎を睨む。
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