15.利益相反

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「城ヶ崎先生のおっしゃる通りです。本当のことを話しませんか? 記録に残しはしますが、外部に漏れるものではないですので」 「プライベートです」 「プライベートでは済まされないからヒアリングに至っていると、あなたほどの人がなぜ気づけないんでしょうか」 「先ほどお話したことがすべてですよ」  城ヶ崎が口を開いた。 「それはあなたの中で、ということですか?」  柴崎はこの城ヶ崎とかいう弁護士にイライラする。入った時から無表情だったが、今やもう敵意にも近いものを感じるのだ。 「どういうことですかね?」  城ヶ崎は部長を見て、口をつぐむ。部長は口を開いた。 「先日、吉野さんが倒れました」 「へえ? 知りませんでしたよ」 「柴崎さんが非常階段にお連れになったあとです」 「は!? そんなの関係ない……!」 「連れて行ったのは認めるんだな?」 「先生」  部長に制されて、城ヶ崎は黙った。 「倒れたのは過呼吸です。原因を究明するよう社内で指示があり、エレベーター前の防犯カメラが開示されました」  口を噤んだ城ヶ崎だが、腕を組んで柴崎をまっすぐ見ていた。  その間も部長は淡々と話を進めていく。
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