16.凶器になると怖いそうです

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16.凶器になると怖いそうです

 ──どうしてこんなことになっているのだろうか。  城ヶ崎は明らかに不機嫌な顔をして優羽の前にいる男性をにらんでいる。 「昂希、目つきが悪くなってるよ?」 「気のせいじゃないですか?」  男性に向かって笑顔を返す城ヶ崎だけれども、目の奥が笑っていない。  こ……怖いけど?    事務所を訪ねた優羽が受付で城ヶ崎を呼び出そうとしていたところ、たまたま外出から帰ってきた男性に捕まってしまった。  四十歳前後だろうか。スリーピースのスーツ姿も非常にダンディで素敵な人だ。整った顔立ちと穏やかな雰囲気の持ち主だった。穏やかなのは表情が柔らかいからかもしれない。 「あれ? 君は?」  そう聞かれて、どう答えようかと戸惑っていたところ「誰かに用事ですか?」と優しく聞かれたのだ。  何となく安心できる雰囲気の人だなぁと「城ヶ崎さんに用事があって」と答えたら、とても嬉しそうにされてしまった。  その人は一緒にいた人に先に行っていて、と指示を出し、優羽に向き直った。 「もしかして、昂希の大事な人かな?」  優羽は思わず赤くなってしまう。  大事な人かと聞かれて自分から、そうですと言うのはちょっと恥ずかしい。
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