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「いや。うちで請け負った仕事なので私も資料を見せてもらいました。元カレなんだって? まあよほど懲りたと思うし距離もあるので何もしてこないとは思うが、何かあったらすぐ昂希に相談するといいですよ。ストーカー化しても困るしね」
「そんなことさせるか。もう二度と近づけさせない。優羽、本当に何かあれば言えよ?」
「うん。昂希くん、ありがとう。今日はそのお礼も伝えようと思っていたの」
そんなやり取りをする二人を微笑ましげに片桐が見ている。
「二人はどうやって知り合ったの?」
「高校の同級生だと言わなかったか?」
「聞いてない。なるほど、それでか……」
片桐は妙に納得した様子なのだ。
「それで?」
「うん、昂希が懐いているし、昂希の見かけにも吉野さんは左右されていない様子だったから。吉野さんは昂希の外見だけに惹かれたわけではないんだな」
城ヶ崎は口を開いた。
「そんなことあるわけない。外見だけに惹かれるような奴だったらもっと楽に落とせていたよ」
「ははっ、昂希が苦戦したわけだな。いいことだ。吉野さん、うちの甥っ子をよろしくお願いしますね。昂希、お前にとっても護るものがあるのはいいことだ。渡米のこともきちんと二人で話しなさい」
そう言って、片桐は席を立った。
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