16.凶器になると怖いそうです

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 思った、という言葉は最後まで言わせてもらえなかった。  唇を塞がれてしまったから。 「え……ちょ……う、んっ……」  最初は軽く抵抗してみた優羽だったが、城ヶ崎は優羽の口の中をまるで蹂躙するかのように、奪うかのようにとても激しくキスをするから、どんどん抵抗は奪われていく。  与えられるキスが気持ちよくて、安心できて優羽はすべてを城ヶ崎に預けたくなってしまった……が、ここはオフィスだと気づき、城ヶ崎の胸元を頑張ってぎゅっと押し返す。 「なんだ?」  本気の抵抗をされて城ヶ崎が優羽を見返す。  その端正さに怯みそうになりながらも優羽は城ヶ崎を軽く睨んだ。 「だめよ。仕事場だもの」  するとそんな優羽に城ヶ崎はにっこりと見とれそうになるほどの笑顔を返したのだ。 「優羽、ここは個人情報を守るために防音になっているんだ」 「そ……そういう問題じゃないでしょ!」 「じゃあ、ここで我慢させた分はあとで家で返してもらおう。とりあえず、今軽くキスしたからチャージはできたからな。もう少し頑張って帰るよ」  そうなのだ。ちょっと忘れそうになっていたけれど、本当はこの事務所にカギを取りに来たのだ。城ヶ崎は自分のカバンの中からカギを出して優羽に渡す。
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