16.凶器になると怖いそうです

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 今日はチキンソテーと温野菜とスープを作ると決めている。  帰りに立ち寄ったスーパーで買い物かごの中に材料を入れていった。  材料を手にしながらもため息が出てしまうのを抑えることができない。  ──アメリカ……。  もしも一緒に行くと言えば城ヶ崎がいろいろしてくれて、優羽に不安がないようにしてくれることは分かっている。  それは行かないと言っても同じことだろう。  行くと言っても行かないと言っても、不安にはならないよう考えてくれるばすだ。城ヶ崎はそういう人だ。  けど、ずっと側にいたいとか、そこまで大事にしてくれている人を優羽も大事にしたいと思ったことも間違いはない。  もしも城ヶ崎について行くと決めたら、きっと仕事は辞めなくてはいけない。  あんなマンションに住んでいる城ヶ崎のことだ。経済的なことでは優羽が仕事を辞めたからと言って困ることはないだろう。  優羽はマンションに足を向け、城ヶ崎の部屋に入り改めて中を見る。  以前から少し気づいてはいたけれど、インテリアも内装もシンプルではあるけれど、とても高価なものではないのだろうか。
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