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胸の中から優しくて、城ヶ崎を思いやるような温かみのある声が聞こえた。
そして、優羽のほっそりとした腕がそっと背中に回って労わるようにぽんぽん、としてくれるのを感じる。
「すっげぇ癒された」
ふふっと笑い声がする。
「まだなにもしていないのに」
「帰ってきたら電気ついてて、部屋ん中が温かい。お疲れさまと言ってくれて抱きしめてくれる。なんかいい匂いするし、チキンソテー? ご飯まで作ってくれたのか」
「あ、食べてきちゃった? ごめんなさい」
「いや、むっちゃ腹減ってるよ。ありがとう。着替えてくる」
着替えてくると言いながら、腕の中の優羽は離したくない。
「えーと、昂希くん?」
「あー、離れたくない」
「どこにも行かないから。着替えてきて? ゆっくりしましょう」
本当は一瞬たりとも離れたくないが本音だが、そう優羽に言われて、しぶしぶ城ヶ崎は優羽を離す。
そんな城ヶ崎にくすくす笑う優羽でさえ、愛おしい。
「じゃあ、着替えたらダイニングに来てね」
確かに言う通り優羽はどこにも行かない。今日はここにいてくれるだろう。
「すぐ行く」
優羽にそう言って城ヶ崎は寝室のウォークインクローゼットに入り、ジャケットをハンガーに掛け、軽くブラシしてから、シャツを脱ぐ。
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