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着替えている間に城ヶ崎が考えていたことは絶対に優羽を手放したくないということだ。
自分の執着心の強さも、ここぞという時に自分の全ての力を使いたがることも分かっている。
ただ一つだけ怖いのは、自分はそれで良いけれど、この意志の強さで優羽を縛り付けたり優羽の自由を奪ってしまうことだった。
それだけはしたくない。優羽には自分の意思で城ヶ崎を選び取ってほしいのだ。
強い感情にさらされていても、どこか冷静になることができるのが城ヶ崎なのだった。
◇◇◇
一旦、寝室の方に着替えに行った城ヶ崎がひょいっとキッチンに顔を出したので、優羽は驚く。部屋着のパーカーとジャージ姿は高校の時の放課後を思い出させて、ちょっとどきどきしてしまった。
「シャワーだけ浴びてきていいか?」
「うん! もちろんだよ。その間にチキンに火を通しちゃうね」
「ん、よろしく」
なるほど、城ヶ崎は帰ってきてすぐ着替えて、シャワーを浴びる派らしい。
そういうことは、生活に入り込まないと分からないことだ。城ヶ崎は他人を簡単にパーソナルスペースには入れないような気がする。
自宅に招き入れて、その部屋の中を自由に使わせるなんてしたことはあるのだろうか?
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