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もし、そんな人がいたとしたら、その人は相当に城ヶ崎に信頼されていたんだろうということだ。
優羽は少しだけ胸が痛んだ。
(いたのかな? そんな人……)
そして優羽は気づく。
(私にも、独占欲ってあったんだ)
交際歴がないわけではなかったけれど、そこまでの強い気持ちではなかったのかもしれないと改めて感じる。
城ヶ崎のことを好きなのだと自覚したときは、脅されていなくても会いたいんだと自覚したときだった。
そうして両想いになった今は城ヶ崎を独占したくなっている。
(どんどん欲張りになっちゃうのかなぁ)
「優羽? フライパン、今にも焦げそうだけど大丈夫か?」
「やだ! 焦げちゃう!」
城ヶ崎がさっとフライパンを持ち上げてくれた。
「どうしたんだ? 考えごとか?」
幸い焦げるとまではいかなかった。
ちょっとこんがりしたくらいだ。優羽が火を止めると城ヶ崎はフライパンを置いてくれる。
「あの、うん。こんなふうに昂希くんが自宅に招き入れるような人はいたのかなって。ちょっとだけ、ヤキモチ? 的な……独占欲みたいな?」
ぎゅうっと後ろから抱きしめられた。
「あのさあ、俺、すっげぇ我慢してるんだから、煽るのやめてもらっていいか?」
「煽ってなんかないよ」
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