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あれって口説かれていたの?
「全力でアプローチしてたんだけどな。まあ、間違いもあったけど通じて良かったよ」
「そうなんだね」
城ヶ崎のまっすぐさにはドキドキさせられてしまう。しかも最近は優羽の気のせいでなければ、ことさらに甘いような……。
「優羽」
「はいっ」
「なにか言いたいことがあったんじゃないのか?」
そうなのだ。今日、城ヶ崎に会いに来たのは理由があった。
柴崎の件が一段落して、おそらく城ヶ崎が対応してくれたのだろうという優羽の考えは先程、所長の片桐が裏打ちしてくれた。
「お礼を言わなくちゃいけないって思ったの。今日、柴崎さんの処分が発表された。人事からのヒアリングは顧問弁護士からの提言って話だったわ。昂希くんでしょう?」
「守秘義務がある。依頼人以外には答えられない。ただ……優羽に何かするような奴をそのままにすることはないだろうな」
もう、答えたも一緒なのではないだろうか。
「護ってくれて、ありがとう」
城ヶ崎は食事の最後の一口を口の中に入れた。そして優羽をじっと見る。城ヶ崎の端正な顔に見つめられて優羽は困ってしまう。
「そうだな、俺はさっき我慢させられたしなあ。お礼、と言うならぜひそれを形にしてもらえると嬉しいんだが」
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