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「あの、お金とかはあまりないんだけど」
お礼を形に、と言われると何か金銭的なものとか、プレゼント的なものだろうかと優羽は焦る。
「そういうものはいらない。俺にとってはもっといいものだよ、優羽」
なんだかイヤな予感しかしない優羽である。
「洗い物は俺がしておくから優羽はシャワーを浴びてきたら?」
「昂希くん、お礼って?」
城ヶ崎は優羽に向かって、これ以上はないくらいににっこりと笑った。他の人が見たら一度で恋に落ちそうな見事な笑顔だ。
「優羽、それは寝室でしてもらうお礼だな」
──や、やっぱりーっ!!
追い立てられるように優羽はバスルームに追いやられて、優羽は全身綺麗に洗う。別にこの後の寝室云々を意識したわけではなくて、少しでもその時間を引き延ばすためだ。
べつにイヤじゃないんだけど……。
城ヶ崎とそういうことをするのは別に嫌いではない。
ただ、いつもの自分とは違うし、最近はどんどん敏感になってきている気がするし、そんなことまで城ヶ崎に把握されている気がしてそれがちょっとだけ怖いのだ。
知らなかった自分がそこにはいるから。城ヶ崎に言われるがままに乱れたりするのは、ちょっと怖い。
「優羽、寝間着を置いておく。先に寝室にいるからゆっくり来いよ」
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