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バスルームの外から城ヶ崎に声をかけられて優羽は慌てて返事をした。
「ありがとう!」
「待ってるからな」
バスルームの外から聞こえるのは声だけなのに妙に艶を含んでいるような気がして、優羽はお風呂から上がってもいいものか、本気で迷ってしまった。
そうは言っても、もちろんこのままずっと湯船の中にいるわけにはいかない。
優羽は意を決して湯船から上がる。
(それにしても寝間着なんていつ買ったんだろ……)
それでも城ヶ崎が優羽のことを考えて、家にいてほしいと思って買ってくれたのならばとても嬉しい。
──昂希くんは本当に私には甘いかも。
そう思って、バスルームを出た優羽だ。バスタオルの上に置いてあるその寝間着という名の布を見て、目を疑う。
「えーっと? 寝間着?」
優羽が持ち上げると向こう側が透けて見える。
とても繊細そうなレースだ。お高そうではある。胸の辺りのリボンがサテン素材になっていて、とても可愛いけれども。
どう考えても寝るときに着たら、風邪をひきそうな気しかしないのだが。
(ていうか向こう側が透けて見えるってどういうこと!?)
これを着ても透けるしかないということだろう。
これ、着る意味ある?
優羽はとても悩んだ。すごーく悩んだ。
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