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「あいつが作ったツールも未だに使ってるらしいからな」
「なんか、先生のパソコンも触ったりしてたよね」
「そうそう、アイツいつかテスト問題にハッキングするんじゃないかと俺はいつもそわそわしてたよ」
城ヶ崎は変わってしまったところもあって、しかもいきなり訴えるとか言われたので、最初優羽は警戒していた。
けれど、こんな話をする城ヶ崎には屈託はなくて、楽しそうな表情などは変わらないように思える。
「城ヶ崎くんは人気あったものね。他校からも見に来てる人とかいて、大変だったわよね」
「そんなの学生の時の話だろ。それを言うなら優羽だって人気あったぞ」
「そんなことないよ」
「自覚がないところがね」
そう言って城ヶ崎は優羽をじっと見る。
学生の時もこんな風にまっすぐに見られることはなかった。
大人になった今、しかも魅力を増した城ヶ崎にこんな風に見られると優羽はどぎまぎしてしまう。
「優羽、美味しい?」
「ええ、とても」
うそだ。味なんてだんだんしなくなってきたような気がする。
「城ヶ崎くん、とても大人になったのね」
「優羽もだよ。この前会って驚いた。高校の頃なんかよりすごく綺麗になってる」
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