2.逆らえないのは?

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 城ヶ崎がわざとらしくにこりと笑う。 「突き飛ばされたところが痛いなあ」 「本当にごめんなさい」 (けがしてないって言ったのに!)  それでもそう言われるともはや謝ることしかできない優羽だ。  そうして、食べたか食べていないか分からない食事を優羽は終えた。  食事代を請求されるかと思ったら、城ヶ崎がさっさと払ってしまう。 「城ヶ崎くん、私、払うわ」 「いいよ。これくらい」  これくらいと城ヶ崎は言うが、優羽のお給料ならばランチ何回分なのだろうか?という金額である。  もっと膨大な金額を請求するからいい、ということなのかもしれないと思いつくと、優羽はつい通帳の預金残高を想像して血の気が引いた。 (すごく膨大な金額を請求されたら払えない!)  城ヶ崎ならそれも可能な気がするのだ。レストランを出て、その場に優羽は立ち尽くす。 「優羽? どうだった?」 「うん。とても美味しかった……かな?」  最後の晩餐かもしれない。 「俺、優羽とまだゆっくり話したいんだけどいいかな?」  その笑顔に逆らえるわけがなかった。 「うん……」  そうして優羽が城ヶ崎に連れていかれたのは、レストランが入っているホテルのロビーだ。 「ここで待ってて」と言われて、ロビーのソファに優羽は座る。
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