21196人が本棚に入れています
本棚に追加
/255ページ
すらりとして、姿勢もよく美しい城ヶ崎の後ろ姿を見送っていると、レセプションに向かっていく。
城ヶ崎に合わせてその場にいる人の視線が動くのが離れたところから見ていた優羽にも分かった。
ロビーの中を歩いているだけで注目を浴びるような人だ。
城ヶ崎はチェックインしたらしく、カードキーを手にして戻ってくるのが見えた。
「部屋でゆっくり話そう」
戸惑っている優羽の腰に手をまわして、城ヶ崎はエレベーターへと優羽を連れていった。
腰に手をまわされては逃げることはできない。
エレベーターの中で見上げる城ヶ崎の横顔は本当に端正で、優羽が立っている位置からは耳から顎にかけてのシャープなラインが見える。
立っているだけでも男性の色気がにじみ出ているような人だ。
ひどく執着されているように感じるのは、気のせいなのだろうか。
部屋の前まで来て、城ヶ崎がかざしたカードキーのピッという音はひどく耳に響いたような気がする。
「どうぞ」
ダブルルームだった。部屋の中に入ると大きなベッドがでんと鎮座していて、奥には簡易なソファセットが置いてある。
ありがたいことに、どうぞと城ヶ崎が進めてくれたのはソファセットの方だ。
それでも優羽は中に入ることを一瞬躊躇ってしまった。
部屋の中には入ったものの入口で立ちすくんでしまう。
最初のコメントを投稿しよう!