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とても、官能的なキスだった。
ちゅ……と音がして優羽はドキンとする。
「城ヶ崎……くん……」
「ん?」
しがみついていないと蕩けてしまいそうだ。
どうしてこんなに甘いキスをするんだろう。
柔らかくて、優羽しか見ていないというような顔で見るんだろう?
「そんな可愛い顔で見たら、容赦できなくなるぞ?」
「許し……て?」
それがあの日の朝のことなのか、それともこれから行われる行為のことなのか、優羽自身にも曖昧になっていた。
「絶対に……許さない……」
城ヶ崎のそれもあの日のことなのか、これからのことなのか分からなかった。
耳に注ぎ込まれる声があまりにも甘くて、優羽は震える。
この先に進んだら帰れない。
きっと囚われてはいけない。
「優羽、大丈夫。俺に溺れてしまえよ」
戸惑いを見透かすかのように囁く声に優羽はくらりと目眩を起こしそうになった。
城ヶ崎のキスは甘い。
切れ長の目が優羽を捕らえるように妖艶に見つめて、その綺麗な形の唇が何度も優羽の唇をついばむ。
開けろと言うように結んでいる優羽の唇をそっとその舌でくすぐられた。
だんだん呼吸もままならなくなって、息継ぎしたくて、ふと開けた口の中に遠慮なく舌が差し込まれた。
その瞬間強く抱きしめられた。
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