3.記憶の中のあなたに

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「あまり……そういうことが得意じゃなくて……」  だからフラれたのだ。 『毎回ガチガチってどうなの?』  そんなふうに言われて。  でも苦手なものはどうしたって苦手だ。  肌が触れ合うその感じも興奮してきて湿った手に触れられるのも。  彼のことは好きだった……はずなのにその行為だけがどうしてもダメだった。 「得意じゃないって、嫌いってこと?」  優羽はこくっと頷く。  あらぬ場所に城ヶ崎が触れ、くちゅくちゅと音を立てる。  そのひどくぬかるんだ音が恥ずかしくて、思わず城ヶ崎に抱きついてしまった。 「じ……城ヶ崎くん、恥ずかしいから、やめて」 「恥ずかしいから? そんな理由ではやめられないね。優羽、本当に可愛いな。そこからが楽しいんだろうが。大丈夫だよ、優羽。悪いのは俺。好きに乱れな?」 「でも、声出ちゃう」  あんな甘えるような濡れたような声なんて出てしまったことがなくて、本当に心から恥ずかしい。  だから、なんとか声が漏れないようにしてほしい。  そんな優羽の願いなど城ヶ崎は気にしていないように軽く笑う。 「優羽の声、すごく可愛いよ」 「だって、変な声なんだもの」 「それがいいんだろ。なぁ、優羽、苦手ってことはあまりしてないのか?」  していないって言ったら少しは手加減してくれるのだろうか?
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