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「どうしたの? 待ち合わせなんて」
「今日は優羽とデートしたくてね」
きゅっと口角の上がる表情はご機嫌の証だ。
そんなふうに言われたらちょっとくすぐったいような気持ちになる。
「デート?」
「そう。今日、優羽は俺の彼女」
城ヶ崎は優羽の気持ちを振り回すのが本当に上手い。
そんなことを言われたら、ただひたすらにドキドキしてしまうのに。
城ヶ崎に連れていかれたのは高層ビルの中にあるギャラリーだった。
そこでは写真展が開かれているらしく、城ヶ崎は招待状らしきものを持っていて受付で記帳もしていた。受付の女性とは知り合いでもあったようで、気さくに挨拶など交している。
受付の女性が優羽に向かって頭を下げるのを優羽も曖昧に頭を下げて返した。
「優羽、待たせた」
「知り合い?」
「今回の主催者が知り合いなんだ」
ギャラリーの中を二人で一緒に見て回る。写真は風景を撮影したものが主で、風景写真をメインに撮影している人のようだ。
「城ヶ崎くんにこんな趣味があったの、意外だな」
城ヶ崎は夕焼けの写真の前で足を止めていた。そして、優羽の肩を引き寄せて耳元で囁く。
「あるわけないだろ」
ん?どういうこと?
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