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「長いと言えば長いですね。高校の同級生でしたから。僕がずっと片想いしていた人ですよ」
「なかなか素敵なロマンスだな。城ヶ崎先生がそれほど一途とは少し意外ですね」
片想い?そんな気配は全くなかったし、なんなら『今日は彼女だ』と突然言われたのだ。
「僕は一途ですよ」
城ケ崎は瞳を伏せて静かにそう返したけれど、優羽は納得してしまった。
この見た目と立場。それに先ほどの北山の発言からすると、きっとたくさんの女性にモテていたのだろう。それに対するけん制だったのではないだろうか。
彼女がいる、と言えば気軽にアプローチをされることもなくなる。
優羽はそれに利用された。
今の優羽は城ケ崎には逆らえない立場だし、後くされもない。それならばデートだと突然言い出したことも今日は彼女だという発言にも納得だ。
それならそうと最初から言ってくれたら良かったのに。勝手にドキドキしたり、きゅんとしたりするのは心臓に悪い。
さっきまで優羽は写真展をそれなりに楽しんでいたのだけれど、それを知ったら居心地のいいものではなくなってしまったような気がする。
受付の女性がやけに優羽のことを見ていたような気がしたけれど、それもなにか感情があったからなのかもしれない。
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