5.優羽中毒by城ヶ崎

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「優羽」   そう呼んでみる。 「なぁに?」  緩く首を傾げるのが殺人的に可愛い。  城ヶ崎を殺しにきているんだろうかと思うくらいの可愛さだ。  酔っているのは分かっている。  もちろんそれにつけ込んでいることも理解している。それでも手に入れたいものもある。 「優羽」  返事をしてくれるのが可愛くてその名前を何度も呼んでしまう。 「んー?」  そうして、優羽の細い首に触れ、艶やかで柔らかいカーブを描く頬に触れる。  その手は肩から、ゆっくりと身体をなぞって背中に触れた。  触れているのは服の上からなのに怖いくらいの興奮を覚えて、城ヶ崎は苦笑する。 「うふふっ、くすぐったいよ……」  舌っ足らずな甘い声。計算でされたらそれほど腹が立つこともないのに、優羽のそれはいつまでも何度も聞きたくなる。  いけないなんて百も承知だ。  城ヶ崎は優羽の顔を両手で包み込んで覗き込んだ。  優羽が城ヶ崎をまっすぐにみている。  綺麗な茶色い瞳。  こんなに近くでまっすぐに見たことはない。そしてこんなに近くで見つめ返されたこともない。  ただ分かったのはその薄い色素の瞳に捉えられてしまった、ということだけだ。 「優羽、俺の名前知ってる?」 「知ってるよ。昂希くん。だってみんなはそう呼ぶもの」
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