俺様弁護士は激愛を貫きとおす【コミカライズ原作】

6.借りは返してもらう

　デートだといきなり連れ出された日、頬にキスとも言えるような言えないような感じで軽く唇で触れられてしまった。

　あのあと「手がふさがっていたんだから仕方ないだろう」と悪びれもせずに言われてしまった。

　いつも一緒にいるとドキドキさせられてしまうけれど、ドキドキしているのは優羽だけだ。

　城ヶ崎自身はいつも堂々としていて、軽いキスとも言えないようなそんな些細なことで揺らぐようには見えない。

　いつもキリッとしていて、堂々としていて、王子様のように振る舞っても不自然さなんて感じさせないような人なのに、なぜ優羽に構うんだろうか？

　そうして考えても思いつくのはたったひとつだ。
　──もしかして、まだ私に怒ってる？

　城ヶ崎のことだ。女性に突き飛ばされるなんてことはないだろう。とても眼光鋭くまっすぐに言われてしまったのだ。

「あれは暴行」で「許すつもりはない」ときっぱり言い切っていた。

　どうしたら許してくれるんだろう。気が済むまで付き合えばいいのだろうか。
　一緒にいればただ楽しいだけのときもあるけれど、どうしたってその言葉には引っかかってしまう。

　心に小さな棘が刺さったようだ。
　普段のように過ごしていれば、忘れていられるのに時折ちくりと心を刺してくる。