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「これをやるって決まった時にどんな話だろうって調べてみた。まぁ……童話の原作が意外と残酷な話だったとかはよくあるんじゃないか?」
「あ、ラプンツェルってグリム童話だったかしら」
「みたいだな」
グリム童話と呼ばれているものは、童話とは言われているけれど、もともとの原作は子供向けのものではない。
伝承を集めた民話のようなもので、それ故に元は教訓話であったことから、残酷な描写もあったというのは有名な話だ。
城ヶ崎に言われて興味を持った優羽は、原作を調べてみた。
それを見て、あの時城ヶ崎が言い淀んだ理由が分かった。
塔の中で育ったラプンツェルは、その声に惹かれた王子と何度も逢い、挙句子供までできてしまうというお話だったらしいのだ。
──こ、子供?それって……。
ラプンツェルが夜な夜な王子を塔に引き入れ、結果妊娠するのはなかなかに刺激的だ。
しかも髪を切られたラプンツェルは塔から放逐され、ラプンツェルの髪だと思って魔女に騙され塔に登った王子は塔から落ちて、目が潰れるという割と衝撃的な話だった。
優羽が読んだものでは、塔は女の子を守るもので、その少女を妊娠させてしまった王子にも苛烈な罰が与えられることで、天罰が下されているのではないか、という解釈だった。
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