7.気づいた気持ちに

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 優羽は城ヶ崎の部屋のリビングにある大きなソファの端にそっと腰掛けた。  そして先ほどからのことを思い出して少しだけ涙がこぼれそうになってしまった。  城ヶ崎が今親切にしてくれたのは、女の子である優羽を一人でこの時間に放り出すことはできないからだ。  それだけの理由でそこに想いがあるわけではないのだから、思い上がってはいけない。 「ほら……」  寝室からブランケットを取って戻ってきた城ヶ崎は優羽の肩にそっとかけてくれた。  ふわふわで温かくて、少しだけ城ヶ崎の匂いが残っている。  優羽はそれをくるりと巻いた。  温かさとその香りに包まれると、ドキドキしたり、幸せだったり、安心したりするのに、心の距離はとても遠い。  きっと優羽だけが気持ちを持っていて、城ヶ崎はなんとも思っていない。 「そんなんでいいのか?」  こくりと優羽は頷く。自分で決めたことだった。  なにかを押し殺したようなかみ殺したような表情で、城ヶ崎はリビングを後にする。  その背中が優羽にはいつもよりも少しだけ小さく見えた。  その温かさで自分を包み込んでも、優羽には寝られるような気はしなかった。  少しだけうとうとしていたらしい。  朝方、気づいたら優羽の横で腕を組んで、座ったまま城ヶ崎は目を閉じていた。  優羽はその目を閉じていてさえ、整ったその顔をじっと見つめる。 (綺麗な人……)
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