7.気づいた気持ちに

11/12
前へ
/255ページ
次へ
「すごい。素敵な席だね」 「優羽と一緒に見たくて」  うふふっと早紀と笑いあう。  お料理もひと皿目から帆立貝とキャビアの前菜に始まり、小さくカットされた野菜なども彩りよくお皿に乗せられていてソースも美味しい。 「すごく美味しい」 「本当? 良かった。で、昂希とはあれからどうなった?」  思わず優羽の食事をする手が止まってしまう。優羽は笑顔を早紀に向けた。 「どうなったって、どういうこと?」  まさか突き飛ばして逃げて、それを弱みとして握られて、抱かれてしまったなんて優羽は早紀には言えない。 「んー? あの同窓会の日ね、昂希、誰にも触らせずに優羽をお持ち帰りしたから。すごかったのよー。周りを牽制しまくって」  いししーと早紀は笑っている。 「え……」 「あ、もしかして、覚えてない?」  あの日の記憶は本当に途中で途切れていて、ふるふるっと優羽は首を横に振る。 「本当に覚えていなくて」 「そっかー。優羽結構酔っていたものね。送っていくと言った人が何人かいたの。私が送っていくつもりだったんだけどね」  城ヶ崎は『俺が送る』と言って、優羽を側から離さなかったらしい。 「あんなんされたら、誰も手出せないねって言ってたの。すごくかいがいしくお世話してたよ」
/255ページ

最初のコメントを投稿しよう!

21196人が本棚に入れています
本棚に追加