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そんな優羽の表情を見て、早紀は苦笑した。
「二人してなにしてんの?」
「え?」
「二人ともお互いがとても好きに見えるのに、なんだか手を出しかねているのはどうして? 二人ともとてもお似合いなのに」
「私……は」
早紀はいつも優羽の背中を押してくれた。あのラプンツェルの配役をもらって迷っていた時も『やってみたら?』と背中を押してくれたのは早紀だったのだ。
嫌なことを強引にやらせることはしなくて、迷っている時上手に背を押してくれるのは早紀らしい。
優羽は口を開いた。
「一緒に出かけたりしたの。とても楽しかった。あんな風に過ごせたらいいって思うけど」
「そうやって昂希に言ってみたら? 優羽の言うことを叶えられないようなやつじゃないと思うし、ダメだったーってなったら私に泣きついておいでよ。朝まで飲みでも愚痴でも付き合うからさ!」
「早紀ちゃーん」
泣きそうだ。
ほんの少しの勇気を出せばよかったのに、なぜそれができなかったんだろうと思う。
優羽は顔を上げてまっすぐ早紀を見た。
「私、城ヶ崎くんと話してみる」
「うんうん。そうしなよ」
「もし私が泣くことがあったら早紀ちゃん本当に朝まで付き合うのよ」
「もちろんだよ! それに優羽を泣かせるなんて、昂希におしおきだよ!」
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