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優羽も高校の頃の楽しかった話をしながら、友人と飲食を楽しんだ。
城ヶ崎が優羽と早紀のいる席に来たのは、だいぶお酒も進んだ頃だったと思う。
早紀と最近の話をしていた時だ。
誰とでも仲良くなれるコミニュケーション能力の高い早紀は、先ほどから色んな人に声をかけられている。
城ヶ崎もそのうちの一人なのだろう。
時間の隔たりなんて感じさせないくらい、自然に声を掛けてきた。
「あー疲れた。吉野は何飲んでるの?」
「サングリア。あまりビールが得意じゃなくて……」
「可愛いもん飲んでるな。一口くれ」
「あ……」
飲みかけなんてことも気にしないで、城ヶ崎は優羽のグラスのサングリアを飲んでいた。
「甘……」
「人のやつを取り上げておいて何言ってるのよ」
早紀の呆れたような声が聞こえた。
こんなことにドキドキしてしまっているのは、優羽だけなのだ。
城ヶ崎はなんでもないことのように笑っているだけだった。
「なんか、吉野が酒飲んでるのとか感慨深いな。お前も大人になったんだなぁ」
「何言ってんのよ、自分もでしょ?」
「城ヶ崎くんは? 何飲んでるの?」
「焼酎ロック。飲み放題のくせしてここ、なかなか良い酒が揃ってる」
そんな話を聞いていると本当にお互い大人になったんだなぁと優羽は実感する。
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