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「本当だよ。もしかして同窓会のことも聞いたか?」
「同窓会のこと?」
城ヶ崎がしまったという顔をしていて、珍しいと思いつつ、そこについても優羽は逃すつもりはなかった。
「もしかして、同窓会も城ヶ崎くんが?」
腕を組んだ城ヶ崎は目を閉じて、軽く息を吐いた。少しだけ顔が赤いような気がするのは気のせいだろうか。
「違う。けど、優羽に声をかけろと言ったのは俺だ。いろいろと強引にして悪かったと思っているが、それも優羽を誰にも取られたくなかったからだ」
「訴えるって言ったのよ!」
優羽は珍しく声を荒らげた。目を開けた城ヶ崎は優羽の方をまっすぐ見つめ返す。
「悪かったよ。だから怒って優羽が家から出て行っても仕方なかったと思ってる。むしろそんなことを言った俺の方が脅迫罪に問われてもおかしくないことをしていた」
「し……信じらんないっ」
あきれた。優秀な弁護士のはずなのに『リークはしない』は脅しだったのだ。
もちろん冷静になれば優羽にも気づけたことだろうが、あの時の優羽はどうしよう!という気持ちがぐるぐるして、言うなればテンパってしまっていて、かなり動揺していた。
判断力が低下して言われたことを鵜呑みにしてしまったのだ。
「本当にごめん。悪いことをしたよ」
珍しく城ヶ崎から沈んだ声が聞こえてきた。
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