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「反省した?」
城ヶ崎にこんなふうに聞けるのは優羽だからだ。
「した」
いつもの城ヶ崎なら『確認しないで騙される方もおかしいと思うだろう』くらい言いそうなのに、優羽の気持ちを推し量ってか、素直に反省している様子だ。
そのしゅんとした様子には優羽は少しだけ胸がきゅんとする。
いつもどんな時も城ヶ崎は堂々としているし、俺様だったから。
悪いことをしたのは本当だけど、そうまでしても、優羽を手に入れたかったとも思える。
徹底的に嫌いだと思えないのは高校生の頃からの城ヶ崎を知っているからだ。
どこかいつも淡々としていてやるべきことだけをやる人だと思っていた城ヶ崎がこんな風に後先考えない行動をとるなんていうことがあることが信じられない。
けれど思い返してみると、優羽の後輩に『彼氏だ』と言ったりデートだと言ったり名前で呼ばせようとしたり、いくつもサインは出されていたのかもしれない。
「優羽……俺、優羽のことになると理性が利かない。前はここまでじゃなかったはずなんだけどな」
「何言って……」
そう言って手を伸ばした城ヶ崎は優羽の頬に指で触れた。
城ヶ崎の瞳はまっすぐに優羽を写していた。優羽は胸がぎゅうっとなる。切なげなのに秘めた熱さが溢れ出ていた。
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