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けれど、澄ましたような顔で何もかもを分かっている、というような表情をされるより、今のまっすぐな城ヶ崎の方が優羽は好きだ。
「うん。そうだね」
「なってくれるか?」
「ん……うん」
優羽が城ヶ崎にでも、城ヶ崎が優羽にでもなく、二人の顔が自然に近づいてそっとその唇が重なった。
「ここって優羽の家の近くなんだよな? 俺、優羽の部屋に行きたい」
耳元で囁くように言われて優羽の胸が大きくドキンと音を立てた。
思わず城ヶ崎を見てしまうと、城ヶ崎はその瞳に熱情と甘さと劣情を乗せ、とてつもない色香が溢れ出ていた。
──抱くから。
そう言われているようにも感じるのに、いやとかダメとか言う選択肢は優羽にはなかった。
「昂希くんのお部屋と比べるととても狭いけど……良かったら来る?」
気持ちが近づいたと思ったら自然に名前で呼べていた。
今日は俺の彼女だと言われた時はあんなに抵抗があったのに。
「ん。すげー行きたい」
とても嬉しそうな顔の城ヶ崎を見て、間違っていなかったんだと優羽は安心する。
「なんか俺手加減できないかも……」
「明日仕事じゃないの?」
「車で来て良かった」
にっこりと笑った城ヶ崎の目が妙に冷静で優羽はちょっとだけ背中がぞくっとした。
(あ……あれ? 私大丈夫かな?)
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