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車を優羽のマンションの近くのコインパーキングに停めて、降りると城ヶ崎が優羽に向かって手を差し出した。
優羽はその手を取る。手を繋いだまま優羽のマンションに向かった。
その間もドキドキと大きく胸が音を立てるのを優羽には止めることができない。
いつもなら不敵で余裕な表情しか見たことのない城ヶ崎もなんだか神妙な顔をしていて、口数が少なかった。
「誰かの家に行くのにこんなに緊張したことはない」
「なんか、私まで緊張してきちゃったわ」
エレベーターに乗ると、城ヶ崎は強く優羽を抱きしめる。
「ちょ……昂希くんっ」
「我慢も手加減もできない。優羽にそうやって呼ばれたかった。たまんないよ」
ぎゅううっと胸の前で交差された腕は優羽がもがいても全く逃れることができなかった。
遅い時間だし、一階から一緒に乗る人がいなければ、途中階で誰かが乗ってくることはないけれど、それでもこんなふうに抱きしめられるのは困る。
エレベーターを降りると抱きしめる腕は解いてくれたけれど、肩をしっかりと抱かれてしまって、城ヶ崎は少しも離れたくないようだ。
優羽は部屋のドアを開ける。
「本当に広くはないけれど、どうぞ」
入った瞬間、城ヶ崎に抱きしめられて、舌まで絡め取られるようなキスをされた。
広いも狭いもない。
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