(二)

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「こんなところでテロなんか起こるんですかね」  近くにいたアレンが小さい声で言ってきた。 「狙撃手(スナイパー)がいるんだぞ。しっかりしろ」 「例の中国系ロシア人ですか」 「そうだ。近くにマンションが、皇居の向こうにも背の高い建物がある。しかも冬で木には葉がなく、狙い放題になっているから気を抜くな」  あまり広くない園内の、内堀通り側の入口付近の角に二人は立っていた。  人が多すぎて誰が誰だが判別できなかった。目標は日本人と同じ東アジア人だ。ティムは改めて携帯(スマートフォン)を出して画面を見た。そして写真を表示させた。背広姿の男性が映っていた。身長は一七三センチとそう高くはなかった。しかし、同じくらいの背丈の男性はそれなりに多かった。 (続く)
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