第二話 BLどころか3〇疑惑

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「ええ?」予想もしていなかったのか。それに。くるくると変わるこのひとの表情を見られて嬉しいと思う自分がいる。糸原は半笑いだった。「嘘だろ? うわ……まじ、おれ。……本当、申し訳ない。だっておれ、くそストレートなもんで。なにしても、ど、ストレートなもんでパーマとかちっともかかんないんだよ。鷺沼さんみたく外国人ぽいふわふわ頭っていいなぁって……羨ましかったんだ。ごめん。本当ごめん」 「あの。おふたりさん……」よっぽど強烈な一撃を見舞われたのか。わき腹を擦りながら神尾がようやく起き上がる。「勝手にふたりで話進めないで貰えませんか? それで。糸原さんは、鷺沼さんに、なにをしたい――んです?」 「え? ああ」照れくさそうに首の後ろに手をやる糸原。何事かと見守っている周りの客や店員に、すいません大丈夫です、とにこやかに頭を下げた。……イケメンは笑顔も破壊的だ。暴力的なまでの美しさを目の当たりにし、またも、困惑する海遊である。「……おれさ。勿論、本人の意思は尊重するけれど。……鷺沼さんのお風呂上がりの髪をドライヤーで乾かしたい。きっと……すっごく……楽しいと思うんだ……」
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