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「糸原さぁーん。戻ってきてくださーい」見かねて神尾が糸原の顔の前で手を振る。ふたりとも長身でイケメンだから随分と絵になる構図だ。ぱん、と両手を合わせた神尾が、「……糸原さんが、鷺沼さんの髪に憧れているのはよぅく分かりました。ドライヤー、かけたいんですよね。なら。早速やりましょうか」
うん? と疑問を残した目で糸原が、「確かに今日は金曜日だけれど。ぼくんちに道具は一通り揃っているからなんでも出来るけれど。……え。鷺沼さん。おれんち来て大丈夫?」
美青年ふたりが並ぶ構図にくらくらしている海遊に更なるフレーズが畳みかける。――道具!? いったいナニの道具!? ナニに使うつもり!? なんでも出来るってナナナニをするのぉ!?!? 大丈夫? なんかじゃありませんッッ!!
『ほら。じっとしてろよ海遊』――言って顎クイなんかされてベッドにやさしく押し倒され――。
ぼん。
脳内爆発寸前の海遊を見てなにかを悟ったらしい。ぽん、と先輩の頭を撫でると神尾は、「……糸原さんが鷺沼さんになにをするのかは自由ですけれど。鷺沼さんが、糸原さん家に行くんならおれも一緒に行きます」……なんだ。
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