あや

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あれからどんな経路で帰ったか覚えていない。 気がつけば自宅の部屋で無意識に彩子に電話をかけていた。 「もしもし、彩子?うん、明日結納だね。家で少し飲まない?ご馳走、仕入れたんだ。うん、じゃあ待ってる」 最後の晩餐に自宅に呼ぶのは少々躊躇うけども、まあ良しにしよう。 だけど、いくつか悩んでもいる。 普通、淡水魚は生で食べない。刺し身で良いんだろうか いやそもそもこれは魚の分類で良いんだろうか 古来から人魚を食べた者は不老不死になるという あの男はそうなのだろう 自分もなるんだろうか あ 彩子が不死身になったら詐欺の証拠が隠蔽出来ない 殺害する前に出来るだけ美味しいものを提供するのが僕のポリシーだが、これでは本末転倒じゃないか キッチンの奥から声が聞こえる タケシ タケシ まあ、一番の気がかりは彩子が嫉妬しないかって事だな 僕の心配を知ってか知らずかアヤは アイシテル と鳴いた
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