2020年1月

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2020年1月

 1月15日  コロナの最初の感染者が確認された。  潜入捜査官の波多野は、夕凪駅近くにあるナイトクラブ『アンドロメダ』を経営する銀閣家元執事の源田を探っていた。水上温泉のスキー場には『アンドロメダ』のホステスである千春がバカンスに来ており、波多野は情報収集で彼女を尾行。スキーする千春を追走していたが、謎のハンターに彼女は射殺されてしまう。波多野は滑走して追いかけ、犯人を捕らえるが、ハンターは舌を噛み切って自殺。情報を取れずに特捜部へ戻ったに波多野、上司の連城は特殊な染料で波多野に入れ墨を施し、靴のかかとからナイフが飛び出る秘密兵器を持たせ、源田のもとへ潜入するよう指示した。『アンドロメダ』ではバーテンの伝馬がドボルザークの『新世界』をピアノで弾くショーを披露していた。波多野は飛び入りで伝馬を上回る腕前を見せた。披露した曲は『ミッションインポッシブル』のテーマだ。波多野は4人のホステスといちゃついてたが、金がないと支払いを拒み、地下室へ拉致される。源田と共に暴力団風神会で幹部をしていた毛塚光一がおり、毛塚は殺し屋集団のリーダーでもあった。彼らに襲いかかられる波多野だが撃退し、その強さと入れ墨から極道と思われ、源田は毛塚預かりの食客として配下に加えた。  波多野は得意の人たらしで毛塚らと仲良くなる一方で、源田と腹心のキロスが銀閣郡司と会うことをビルにぶら下がりながら聞き出す。源田と銀閣の商談に変装して尾行した波多野は、毒物学の権威である残間仁(ざんまじん)博士を誘拐する計画を知る。残間は根津甚八(ねづじんぱち)に似ている。  その時、波多野と同様に銀閣の屋敷に忍び込んでいた黒装束の邦彦と伝馬に襲われる。彼らの身のこなしは忍者なみだが、波多野もその敏捷な動きで戦うものの逃げられてしまった。残間はキロスに誘拐され、引き換えに源田がGX毒ガス製造法と研究データを入手しようとする。そのデータを某国諜報部に売りつける陰謀と、相棒で先輩の横溝塁から聞かされた波多野は、残間の奪還と陰謀を阻止しようとする。邦彦と伝馬は波多野を刑事と知りながら、源田に波多野の正体をバラさない。いっぽう波多野も邦彦と伝馬が源田のもとに入り込んだ何者かのスパイと気づく。取引は源田のほうが一枚上手で、全ての書類を奪われてしまった。源田は軽井沢の別荘で、波多野に残間を射殺させようとするが、突然邦彦と伝馬が機関銃を乱射して襲い掛かってきた。  1月20日  伊豆のホテルにて残間の誕生パーティーが行なわれていた。出席者は邦彦、伝馬などだ。 「波多野は大したことなかったな」と、伝馬が窓から青く輝く海を眺めながら言った。  波多野は邦彦によって蜂の巣にされた。  その最中に伝馬のもとに奇妙な電話がかかってくる。これが惨劇の幕開けとなった。パーティーを中座して部屋に戻った伝馬が、部屋に潜んでいた何者かに首を絞められて殺されてしまう。  一方、朝倉小百合は、元夫の一人の子供を身ごもった事を知り、中絶する事を一人に告げるが、彼はそれに猛反対し、捨て台詞を残して去っていった。  その後、事件を捜査する静岡県警の瑞巌寺(ずいがんじ)警部(野口五郎似)に協力して不審な電話に応対する事になった小百合は、その声に慄然とした。さらに逆探知の結果、その電話はなんとホテルの中からかかってきていた。  その頃、大浴場では宿泊客の女性が何者かにアイスピックで背中を刺されて殺されていた。女性は長谷川京子(はせがわきょうこ)に似ていた。    小百合は、ほんの少し前のことを思い出していた。  小百合は、夫の一人が夜中に見知らぬ女性を自宅に連れ込んでいる現場に鉢合わせし、女性と揉み合いの末、マンションの階段から転落する。そんな小百合が搬送された夕凪病院の新人研修医・雑司ヶ谷大地(ぞうしがやだいち)は、救急患者が苦手で点滴の針すらもさせない有り様。結果、小百合は大腿骨骨折・全治1ヶ月間と診断され、同病院の大部屋で入院生活を送ることになる。小百合の隣のベッドの患者は横溝理恵だった。  小百合と理恵の担当医になった大地に対し、小百合は不安を理恵は恋心を抱く。  どことなく福山雅治に似てるな〜と、小百合は思った。  入れ替わるように面会に来た一人は小百合に離婚届を渡すと弁解もせず実家に戻ってしまう。  小百合は夫の不倫・離婚などから胃潰瘍を併発する。一方、理恵の肺に影があり、肺癌なのか結核なのか判明せず、彼女も悩んでいた。  あるとき、理恵が「この病院に幽霊が出る噂があるのを知ってる?」と言った。  その幽霊を倒すことが出来るとどんな重い病でも完治するらしい。  小百合は尿意を催してトイレに入った。  トイレの床にリカちゃん人形が落ちていたので、不審に思い手にとって見ると、足が3本ある。驚いて地面に落とすと「私リカちゃん。呪われてるの…‥」と話す。小百合は怖くなってその場から逃げだすが、リカちゃんの声が耳から離れない。頭の中をリカちゃんの声がぐるぐる回りだした。  小百合は理恵には内緒で様々な検査をするが、結局、どちらなのか判明しない。外科医は手術して直接患部を見れば良いと言うが、不要な手術を嫌う大地は納得しない。日数は掛かるが、理恵の痰を培養検査へ提出する。大地から胃潰瘍であると断言され小百合の悩みは軽減される。が、一人への怒りは治まらない。  検査の前日、理恵は小百合を誘い病院を抜け出し、2人は車椅子で夜の街へと繰り出す。餃子やラーメンをたらふく食べた。 「病院食ってマズイよね?」と、小百合。 「うん」  中華料理屋から出て、病院に戻るとゾンビが涎を垂らしながら真っ暗なロビーを歩いていた。  2人とも痛さと満腹感で戦えなかった。  ゾンビは駆けつけた警官に銃で撃たれて死んだ。  警官は痔だったが、完治した。  翌日、病院側は理恵の飲食していないとの自己申告を信じ検査を始めるが、検査途中で昨夜暴飲暴食したものを吐いてしまい検査は中止。検査した医師に理恵は叱責された。  大地は理恵の検査内容から肺癌だと気付き、女医の伝通院(でんつういん)を問い詰めるが不自然に否定される。伝通院は辺見えみりに似ている。  ある夜、 医局に忍び込んだ小百合と理恵は、大地の引き出しに理恵のラブレターを入れるが、大地は破り捨てる。  大地に呼び出された理恵が意気揚々と診察室に向かうと、大地から外科医の伝通院を紹介される。伝通院から開胸術による検査を勧められたことで、自分は肺癌で死が近いと思い込む。理恵は死ぬ前に海を見たいと思い、小百合と実力行使で病院を抜けだそうと試みる。しかし、病院を抜け出すのが困難と判断した小百合は「体に障るからやめよう」と理恵を説得する。理恵は涙を流しながら、「分かった」と頷いて病室に戻る。夕食前、理恵は吐血して亡くなってしまう。    小百合の退院の日、小百合は病室で大地から「実はあなたのことが好きでした」と打ち明けられた。 「ごめんなさい、主人といろいろあって男性恐怖症になっちゃったの」と小百合は断った。  毛塚は邦彦に復讐する為に整形し、ホテルに潜入した。まず、伝馬を彼の部屋にてロープで絞め殺した。さらに、小百合の依頼で一人の浮気相手を大浴場でアイスピックで刺殺した。  ロビーにあるコーヒーサーバーに青酸カリを入れておいた。邦彦はガムシロを入れて飲んでいたが死ななかった。他の宿泊客が何人か死んだが、邦彦が死ななくちゃ意味がない。    1月25日  邦彦の付き人として横浜にあるビジネスホテルにやってきた小百合は、そこで小田原の大金持ちである堂島(どうじま)と出会い、2人は恋に落ちる。堂島は星野源に似ている。堂島は1年前にヨットの事故で前妻、薔薇子(ばらこ)を亡くしていたのだが、小百合は堂島の後妻として、小田原の彼の大邸宅へ行く決意をする。多くの使用人がいる邸宅の女主人として、控えめながらやっていこうとする彼女だったが、かつての薔薇子づきの使用人で、邸宅を取り仕切る備前(びぜん)にはなかなか受け入れてもらえない。備前は松重豊に似ている。  次第に小百合は前妻、薔薇子の見えない影に精神的に追いつめられていき、遂には備前に言われるまま、窓から身を投げようとしてしまう。そのとき、偶然に上がった花火の音で小百合は正気を取り戻すが、それは座礁した難破船が上げた救難信号だった。程なくその難破船の下から小型船がダイバーによって発見される。見つかった船は堂島のヨットで、船内から堂島の死体が見つかる。堂島は嵐の夜にヨットで遭難し、流れ着いた死体を備前が確認して既に葬られていたとされていたことから、改めて堂島の死因が調べられることになる。この事態に絶望した備前は薔薇子の死の真相を小百合に語る。  その日、かねてより薔薇子の放蕩と愛の無い結婚生活に悩まされ続けていた堂島は、浜辺のボート小屋で彼女に妊娠した事を告げられ、「自分の子供で無い子供が跡を継ぐのはどんな気分かしら?私を殺したいでしょう?」と嘲られる。怒りに我を忘れた堂島は彼女を殴り、殴られた彼女は嗤いながら小屋の中を歩いていた所、躓いて転んでしまい、倒れた拍子に船具で頭を打って死んでしまったために、その遺体を運び入れたヨットごと沈めたのである。    堂島の死に関する審問が始まる。神奈川県警の豊後(ぶんご)の調査により、堂島の船には意図的に中から穴が空けられていたことが判明する。  豊後はどことなく『太陽にほえろ!』でジプシー刑事を演じた三田村邦彦に似ていた。    堂島の親友であり、向井理に似ている別所(べっしょ)は堂島が自殺するなど考えられないことを豊後に教えた。  かつて、別所は小百合と同じ派遣会社『イカロス』で働いており、小百合が会社の金を横領したことを知っていた。 「あのことを世間に公表されたくなかったら、金よこせよ」   別所はジャーナリストをしていた。  邦彦が別所にヘッドロックをかけた。 「女を泣かす奴は最低だ!隠してること全部吐け!」 「話すから放してくれ!」    別所は薔薇子が自分の子を妊娠し、死の当日に医師の診察を受けていたことを明かす。ところが、その医師の証言により、薔薇子は妊娠していたのではなく、不治の癌に冒されていたことが明らかになった。 「だとしたら、薔薇子は自殺かも知れないな」と、邦彦。  実は、自殺を決めた薔薇子は自らの病を隠したまま堂島に自分を殺させようとしていたのである。薔薇子による呪縛からようやく解き放たれた小百合だったが、堂島からパワハラを受けていた備前が堂島殺しを自白し、現実を受け入れられずに狂った備前によって屋敷は火をつけられた。備前だけが死に、邦彦や小百合、豊後などは助かった。    小百合は助けてくれた御礼として、邦彦を『イカロス』に紹介した。  
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