01.なぜならば、私は

1/1
4人が本棚に入れています
本棚に追加
/16ページ

01.なぜならば、私は

 人間の男を好きになってはいけない。  両親からさんざん言われていたのに、私は人間の男に恋をしてしまった。  胸の奥の痛みが私を苦しめる。胸の奥を針のようにチクチクと刺し、縄のようにぎゅっと縛りつける。けれど、その痛みの中にはたしかな甘美さもあった。  毎晩、寝る前にあの人のことを考えると、いつもその痛みと甘美さはやってきた。その痛みと甘美さに、私は身悶えすら覚えた。  でも、その気持ちは押し隠していなければならない。  なぜならば、私は竜だから。
/16ページ

最初のコメントを投稿しよう!