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付き合って3年目の記念日。
今日という日は過ぎたら2度と戻ってこない。
だからこそ、この計画、なんとしてでも成功させてみせる!
商業ビルの屋上から屋上へと飛び移ったところで、エリックは足を止め眼下を見渡す。
……いた!
駅の改札から出てくる人々の中に、スーザンの姿を見つけたエリックは、彼女のところへ向かうための最短距離を一瞬ではじきだす。
スーツと一緒に購入したネクタイをほどき、一旦後ろへさがったエリックは勢いをつけビルの屋上から跳んだ。
シャーッ!!
駅前まで続く下り坂と電線を利用し、ネクタイを滑車代わりに、ジップラインよろしく一気に降下していく。
成人男性の体重を支えきる強度。さすがは高級なネクタイ。
「スーザン!!」
大声でそう叫び、彼女が足を止めたのを確認したエリックは、電線からネクタイを外し、バス停の屋根めがけて飛び降りる。
さらにバス停の屋根を蹴り、落下の衝撃を和らげるため、受け身をとって転がりながら着地した。
「エリック?どうしてここにいるの?……それにスーツがよれよれよ」
ネクタイを締め直し、ずれた眼鏡を直したエリックは、スーザンの足下にひざまづき彼女の顔をまっすぐ見上げた。
「スーザン……君に……伝えたいことがあって……」
病める時も健やかなる時も、ずっと君の隣にいたい。
「愛してる」
エリックはスーツの内ポケットから指輪の入った箱を取りだし、ふたを開けスーザンに差しだした。
「俺と……結婚してくだしゃい!!」
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