風花雪月

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 ルール、ロール、ポール……。  長い間、難問を解きながら世の中を回り続けていても疲れ果てて倒れてしまうだけのことだから、回る方向を変えてみようとする意識こそあれ、反抗と言う名のレッテルをつけられ、頭をハンマーで叩き潰されてしまう。  まやかしと分かっていても軽はずみで分かりやすい方へと身体に勝手に動いてしまうことに、何の疑問を感じることはないと、無意識で無責任な判断力が決めつけてしまうものだから、反逆と言う名の尖った攻撃力は一気に削ぎ落されてしまい、怠惰の美徳に取りつかれ、ゆっくりと気が付かぬ間に全てを終えていくことに幸せを感じている。  全てはルールの中に納まっている内での事と中途半端に理解をしてしまい、全てを分かり切ってしまう錯覚に陥るのだが、全てのルールは内容をしっかりと理解している者にしか味方をしないことに誰も気が付きやしない事を良いことに、ルールは一部の馬鹿どもに勝手に主観的な決断によって決められ、支配力を背負った状態で世を我が物顔で闊歩するのだ。  スルーは何もしていない罪の始まりでしかない……。  闊歩、散歩、インポ……。  会話をしているのだが、相手の事が全く分からない。良く知っている人と認識はしているけど誰だろう?飛んできたボールを取ろうとしたけど取る事が出来なかった。ボールは後ろに転がっていく。目の前にはいかつい人が立っている。激しい衝撃を受けて後ろに飛ばされるけど目の前では子犬が尻尾を振っていた。むかついたけど弓を構えていた。いつの間にか海の中にいる。必死にもがいていたら駅の構内にいた。電車の中で酔っ払いがゲロを吐きまくっている。コンビニの駐車場に車を止めて一夜を過ごした。朝になったら知らない奴が隣で寝ていた。  えいやとっと、えいやとっと……。またカブトムシの話……。  十字路の影に白バイを見つける。赤信号と分かっているのに進んでしまう。居酒屋で仲間達と盛り上がっている。ワイシャツでズボンを履かずに店内をうろつくサラリーマン風の人。血走った眼で人を睨み続ける野良犬。家で寛いでいたらヒグマが襲ってきた。包丁を棒の先端に装着する。やりたくもない勉強のやっている振り。一人暮らしを始めようとしているが仕事の真っただ中。薬局で風邪薬を買っていた。カップラーメンを食べようとしているけど三分間が経過してくれない。永遠について考えていたら吐気と頭痛に襲われたので止めた。寝ようと思ったけど眠れないので起きていたら湖の真ん中にいる。朝になったら歯を磨いていたけど地下道の隅っこでダンボールの中にいた。  消しゴムのカスが山のようになっている。煎餅の入った袋を開ける。中身は空っぽだった。ギターを抱えているけど練習をした記憶がない。自分が何故ここにいるのか分からない。目の前が看板だらけだがそこに中身はない。何かが始まろうとしているけど何も始まらない。  今に始まったことではないが、覚えていない時もある。  そんなものだよね……。
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