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「ご機嫌は如何ですか?」
白衣を着た綺麗な女性がくだらない奴らに教えられたような笑みを浮かべて、私のテリトリーの中に土足で入り込んでくる。
麗しき天使のような見せかけの微笑みの裏に見える厭らしさがたまったものじゃない。
私の周りの空気を穢し続ける、その無能な存在からプンプンと漂ってくる饐えた匂いはどうにかならないのだろうか。
この女は、私のデリケートな神経が過剰な反応を繰り返し、苛立ちをつのらせていくだけの効果しかない存在なのを分かっていない。
神経がズタズタになっていく苦痛と言うものが、地獄の業火で焼かれていくかのような苦しさであることを知らない糞以下の女なのだ。
所詮、指示された事しか出来ない機械的な動きだけの無能な人間には、私の 偉大さをしっかりと分からせてやる必要がある。
言葉で伝えても分からない人間には、痛みを伴ってもらうしかない。
痛みを伴わなければ、物事を学ぶことが出来ない人間ばかりなのだから、世の中が終わっているのかもしれないが、私は一人でも多くの人間を救わなければならない使命を担っているのだから仕方がないのだ。
私は鋭利な刃物を握りしめ、白衣の女に襲いかかる。
刃物が女の腹に突き刺さった。
女は悲鳴を上げ倒れる。
倒れた女に覆いかぶさり、何度も刃物を突き立てる。
跳ねあがるように踊る鮮血が私を深紅に染め上げていく、何とも言えない美しさと輝きを放つ景色が、私がこの女に施す教育と言う概念の素晴らしさを物語っているではないか。
鮮血を何度も身体からドビュッ、ドビュッと吹き上げながら、ピクピクと全身を震わせ続け、この女はやっと理解を出来たのだ。
自分が無能な存在でしかないことを!
この女はこれで新たな人生の一歩を踏み出すことができるのだ。
一生、私の偉大さに感謝をすることになるだろう……。
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