風花雪月

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 ゴミは拾われることなく漂い続けるフラストレーションの欠片であり、巨大な集合体となると全く手に負えないモンスターとなってしまう。  全ては自分に帰ってくるのだ。己を凌駕する怪物となって。  ブーメラン  コーラン  ラン、ラン、ラン……。  遥か彼方の小島の浜辺の細かいサラサラとした白い砂の上で、自分の存在の小ささと惨めさに気づいた時、無造作に貝殻を拾い集めて戯れる行動に非科学的な根拠を見いだせない事に、泣き濡れた快楽に浸り堕ちていく感覚を思う存分楽しめば良いのだ。  多数と言う名の塊は気が付かないうちに悪意を内部で育て上げていき、孤立した美徳が自滅に陥るまで徹底的に打ちのめしていき、教育と言う名の絶対的な存在は消込処理に明け暮れてしまうのだ。  決して言うことを聞くことのない吹きすさぶ風は、大量の砂埃を巻き上げて、私の視界を一気に潰しにかかるのだ。  刃物を連想させるかのような鋭い冷たさを伴って吹き付けてくる風に向かって、盲目となった戦士は思考能力を失っても、ひたすら歩き続ける。  どんなに惨めな状態になろうと、自分が生命力と言う無駄な力が微かに残っているのを感じる限り……。  花は咲き乱れる。  何の脈略もなく。  確かに存在しなければいけないと言う無意味な価値観に縛られ続ける状況を、美しさと勘違いをしているかのように……。  散りゆくまま枯れ果てるまでその存在感を保つ儚さに、さり気ない高貴さを誇っていると言う、大いなる間違いに気付くことは決してない。  降り続く雪。  サラサラと降り続け、全てを白く染め上げてから、残酷な光を容赦なく浴び、泡沫の如く消え去っていき、北の氷の果てを夢見ながら無に帰する。  暗闇の中、不気味な光彩を放ちながら、ケラケラと笑い続ける月。
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