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湖の畔
茶色に濁った水面は時折泡立ち異臭を放つのだ。
不快極まりない汚らしい時間を共有しなければならないこの一瞬ですら、腹立たしい人生の一部として断片的な思い出を語るうえで欠かせない風景となる事に納得をしなければならいと言うことなのか。
全ては醜く歪んでしまった空間の中で、湖底に蠢くように生きているヘドロに飲み込まれていく神経が、訳の分からない電撃のような衝撃に犯され続けられることにより、血液の色が青くなってしまったからなのかもしれない。
分かるのかい?
分からないだろうな……。
見え隠れする生き物が常識と言う悪夢の中を徘徊していたら、いつの間にかズタズタに切り刻まれてしまった、誰にも意識されることのない世界観の中に溶け込んでしまい、圧倒的な冷たい風に晒されて干からびていくだろう。
無情でしかないんだよ。
身に覚えのない感覚は常に研ぎ澄まされ続け、鋭利な刃物のようにはなるけど、脆弱な音を響かせるだけで、鈍い光の中で吠え続けるだけのくだらない存在でしかなくなる。
考え直せ!
気紛れの中を歩き続ける間抜けな生物でしかないのなら!
乱痴気騒ぎだな。
ここはここでしかない。
貴方はこの前の事を『知らない』と言っているが、実に鮮明な記憶が創り上げる思い出の中では、積極的に働きかけてきて、生き生きとしているのだ。
分かるのかな?
『分かる』と答えている貴方の破綻をしているとしか言いようがない、実に曖昧でいい加減な思考回路は、破滅への道標の創造でしかないのだろう。
終わっているのだ。
視界に写り込むチカチカとした細かいガラスの破片のような反射物の懊悩に惑わされて、見えることのない物を必死に見ようとする、救いようのない奇跡の連続性ですら、現実の横行に叩き潰されていく心肺機能の停止状態のようなものでしかない。
意識の反転。
この世に存在する全ての物に慈しみ深き意味合いを!
見えた……。
暗闇の中で唯一の素敵な存在感でしかない月が、ヘラヘラと笑い続けているのなら、看過されてきた森羅万象の悪意がまかり通る雑踏は、無意識という余りにも便利な構造を持った自由と言う非常識な疾走の限界点を見る事になる。
自転車に乗り視界を悪戯に通り過ぎていく風景は、前衛的な世界を作っているようではあるが、単なる要領を得ない断片的な記録の戯言でしかないのだ。
花瓶に差されている一輪の青い花の想像力に見え隠れする物語の終焉。
あり得ないだろう?
雑踏の中で感じる移ろいで行く感覚のバカバカしさを、物差しで測りながら身近にただよう存在感と言う空気を吸い続け、正面から受け止めても何の反応も感じ取れないまま実感するしかないのだ。
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