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 どうやら、こういう事情らしい。  ライアンたちの住む貧しい街区に、カトリックの小さな教会がある。  そこの物好きな神父が、フラワーショーなるものを、来週、開くのだという。  曰く、貧しい環境で暮らす人々への精神的娯楽の提供だとか。  生活改善効果を狙ったある種の社会実験だとか。  そんなふうな、なにやら高尚な目的から始まったらしい。  去年、試みに始めたところ、なかなかの好評。  そこで、今年も開催することが決まったそうだ。 「君は去年も参加したのかい」 「ううん。でも知り合いが出て、賞金もらってたから」  レイモンドの問いに、鼻をぐずぐず言わせながら答える。  参加者が一ヶ月ほどかけて育てた鉢植えを飾る展覧会を開くのだが、初日にはコンテストも開かれ、入賞すれば開催期間の三日間いい位置に飾ってもらえる。  しかもそれだけでなく、わずかとはいえ、賞金まで出るらしい。  小遣い稼ぎには、なかなかいい話だろう。 「おいらは教会なんか行ったこともないしさ。でも、訊いたら構わないって言われたし。だから鉢を買って、申し込みに行って、印もつけてもらったんだ」  教会が受け持っている貧しい地区の住人なら、信徒でなくても資格があるのだという。  正直、教徒が多いとは言えない地区において、これはかなり参加の敷居を下げるだろう。 「それに金持ち連中まで見に来たっていうんだ。やってみない手はないだろ」
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