会いたい。

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会いたい。

~・~・~・~ 閉ざしていた瞼をゆっくりと押し上げて見えた世界は滲み、揺れていた。 俺はまたゆっくりと瞼を閉じ、溢れ出したものをそのままにしていたがそれに気づいたナツはそれを舐め取りながら俺のそばにいてくれた。 「・・・夏海(なつみ)に・・・会いたいな」 俺はそんな言葉を吐き出してソファにうつ伏せた。 どの口がそんなことを言う? どの口がそんなことを言える? (自分)から夏海(なつみ)を突き放したくせに・・・。 夏海(なつみ)はきっと怒っているはずだ。 何も言わずに居なくなった俺を・・・。 いや・・・もしかしたら怒ってさえいないかも知れない・・・。 夏海(なつみ)が怒るほどの価値なんて俺にはない・・・。 俺はソファにうつ伏せたまま近くにあったクッションを抱きしめた。 抱きしめたクッションからはナツの匂いがしていた。 そう言えばナツはこのクッションがお気に入りだったと思っていると『うぅ~・・・』とナツの不満げな唸り声が聞こえてきて俺は『ごめん・・・』と謝り、そのクッションをナツに返したけれどナツの不満げな唸り声は止まらなかった。 「・・・クッション・・・返したでしょ?」 俺はそう文句を言いながら顔を上げて鼻をすすり、手の甲で目元を拭いながら唸り続けているナツへと視線を向けた。 ナツは俺をじっと見つめてきていてナツのお気に入りのクッションはナツの足元にむなしく転がっていた。 ナツのその様子からナツがクッションを取られたことで唸っているのではないことがわかった。 「・・・なんで俺じゃなくクッションを抱きしめるんだ~って顔してる」 俺はそう呟き苦く笑んでナツを抱きしめ、夏海(なつみ)の名前を何度も呼びながら『会いたい』だの『好き』だのと言う言葉を口にした。
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