迷子の幸福。

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迷子の幸福。

~・~・~・~ 人気もまばらな冬の公園のベンチに深く座り灰白の空を見上げていると『ばぁっ!』と言って覗き込んできた顔があった。 それに俺は大きな溜め息を吐き出し、目を細めていた。 「そんな溜め息吐くことないじゃん?」 しゅんとしながら不満そうにそう言ってきた夏海(なつみ)に俺は『ハイハイ』と適当な返事を返し俺の真横に座って来た夏海(なつみ)にそっと身体を寄り掛からせていた。 「仕事・・・もう終わったの?」 俺はそう夏海(なつみ)に訊ねながら手袋をしている夏海(なつみ)の手に触れてみた。 夏海(なつみ)がしているその手袋は俺が秋の終わりにプレゼントした物だった。 「うん。終わった。今日は真白(ましろ)とデートの約束をしたから超特急で仕事を済ませたよ」 そう言って微笑み、冷えた俺の手を握ってコートのポケットの中にしまってくれた夏海(なつみ)に俺は『そっか・・・』と言葉を返し、ついでに『ありがとう』と言う言葉を付け足し、さらに『嬉しい』と言う言葉もプラスした。 俺のその言葉を聞いた夏海(なつみ)は向日葵のような笑みを満面に浮かべ、夏海(なつみ)のその様子にキュンとさせられた俺は夏海(なつみ)の唇に無意識なキスをしてしまっていた。 「・・・なんか・・・テレる・・・」 そう言って耳まで赤くした夏海(なつみ)に俺は『え~?』と声を上げていた。 今さらテレるようなことなんて何もないだろうに・・・。
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