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『わんわんっ!』
それは懐かしい鳴き声だった。
その鳴き声と共に俺に飛び掛かってきたゴールデン・レトリバーに俺は引き倒され強烈な舐めまくり攻撃に襲われた。
「ちょっ!? 真白!?」
襲われる俺を目撃した夏海は身動き出来ないまま焦っていた。
俺はゴールデン・レトリバーの両頬を両手で掴んで揉んだ。
懐かしいあたたかさに溶かされる。
「・・・久しぶり。・・・ラッキー」
俺はそう言ってそのゴールデン・レトリバーを抱きしめ息を切らしながらやって来た男の子2人に『こんにちは』と声を掛け、ゴールデン・レトリバーを引き離したけれどゴールデン・レトリバーが俺のそばを離れることはなくて見覚えのある方の男の子に『お兄ちゃん!』と呼ばれて頷いていた。
「久しぶりだね。また・・・引っ越し? それともまたラッキーが逃走して迷子になったのかな?」
俺の言葉に見覚えのある男の子は『違うよ!』と言ってにこりとし、もう1人の男の子を呼んだ。
『たーくん』と大事そうに・・・。
「たーくんの家に遊びに来てるの! ラッキーも一緒にお泊まりで!」
それに俺は『へぇ~』と言葉を返し、愛想のない『たーくん』を見つめてみた。
「たーくんがねラッキーの迷子のチラシのこと、教えてくれたんだよ! 僕、たーくんのこと大好きでそれでね・・・」
「優人・・・」
はじめてたーくんが声を発し、ラッキーの飼い主の男の子の名前が優人と言うことを俺ははじめて知った。
確か名字は笹川だったはずだ。
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