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はじめて声を発したたーくんの頬は赤くなっていた。
あえて『どうしたの? 顔、赤いよ?』と声を掛けようかと思ったけれど、あとから夏海に叱られるのも嫌なのでやめておいた。
「・・・ありがとうございました。チラシ・・・」
そう言って俺に頭を下げてきたたーくんに俺は驚かされた。
たーくんは優人くんと同い年のようだったけれど優人くんとその様子は全く違っていた。
だから俺は『ああ・・・』となっていた。
「どういたしまして。たーくんもありがとうね? 助かったよ。これからも優人くんと仲良くね?」
俺はそう言って微笑み、たーくんと優人くんの未来を想像していた。
きっと・・・二人は・・・。
「・・・お兄さんたち・・・ひょっとして・・・」
そう言って俺と夏海を見比べたのはやはり、たーくんだった。
だから俺は『番だよ』と答えた。
俺と夏海は番だ。
「やっぱり!」
そう言ってようやくにこりとした、たーくんは優人くんと同い年の子に見えた。
「たーくん? どうしたの?」
優人くんは小首を傾げて、たーくんを見つめ、夏海は俺の横にしゃがんできていた。
「この子が・・・ナツ?」
夏海のその問いに答えようとしたときラッキーが俺の耳元で『わんっ!』と鳴き、俺の耳の奥はキーンとなった。
「そっか・・・キミがナツなんだ」
そう言って微笑み、ラッキーに・・・ナツに『白浜 夏海です』と言って『真白がお世話になりました』と丁寧に頭を下げた夏海に俺は目を丸くさせられたがナツの取った行動に俺も優人くんもたーくんもすぐに吹き出した。
吹き出した理由は頭を下げた夏海の頭をナツが前足で押し、もっと下げろと言うような行動を取ったからだった。
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