取得物。

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取得物。

~・~・~・~ 「これにお兄さんの名前と住所、電話番号を書いて。あと、この子を拾った場所と時間と状況も出来るだけ詳しく」 そう言って取得物届けと書かれた書類を差し出してきた中年のお巡りさんは俺の横でいい子におすわりをしているゴールデン・レトリバーに興味津々な様子だった。 俺は受け取ったその書類に言われたことを淡々と記入をしていった。 俺が記入をしている間もそのゴールデン・レトリバーはいい子におすわりをしていて俺の記入が終わるのを待っていた。 「お兄さん・・・この子、飼い主さんが見つかるまで飼えない?」 「はい?」 お巡りさんのその言葉に俺は聞き返しの返事を返し、書き終えたばかりの書類の確認をしていった。 抜けはない・・・はずだ。 「いや・・・ウチじゃ面倒見れないのよ。見れても本当に僅かな時間。そのあとは保健所に連れて行かないとなんだけど・・・そこでも長くて1週間しか見てもらえない。その期間を過ぎるとそのあとは・・・」 そのあとの言葉は言われなくてもわかった。 俺は俺の横に居るゴールデン・レトリバーに視線を向け『来る?』と訊ねていた。 返事はないだろうと思った。相手は犬だし。 だけれど、返事はあった。 『わん!』と大きな鳴き声で。 それも熱烈なハグとキス付きで・・・。
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