最終章

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俺は手紙を封の中にそっと戻した。 警察に手紙を返して、署を出る。 葵はあの手紙を読まずに逝ってしまった。 空の上では、あの3人がまた再会するんだろうなと、夕日でオレンジに染まった空を見上げる。 空の上では、またどんな修羅場が待っているのだろう。 俺は、電車に乗り、店に戻る。 自分の店は落ち着く。 気分的に今日は営業したくないから、看板をcloseにする。 ブラインドを降ろして、キッチン横に置いている間接照明を付ける。 仄かな明かりに安堵する。 朝から何も食べてなく空腹だと思い出して、付き合った当日に葵が食べていたカルボナーラを作った。 別れてからは、メニューから外したけれど。
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