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あれはまだ、私が中学生の頃。
偶然耳にした曲から全てが始まった。
――空を見上げ、願いを込めた。
星が今日も誰かを照らしてくれますようにと。
当時、日本のトップバンドとして一世を風靡していた”Mac・rain”。そのヴォーカルを務める一人の男性の歌声を聴いた瞬間、私はとてつもない衝撃を受けた。深みのある少し掠れたボイスに、そこからは想像もつかない程、綺麗で伸びやかなファルセット。ガラス細工のように散りばめられた色鮮やかな音の波に、私は生まれて初めて恋をしてしまったのだ。
それはまるで、今まで欠けていたパズルのピースが当てはまるかのように、不完全な部分が満たされて行くような……、そんな感覚だった。まだ将来の夢なんて、漠然としか考えていなかったけれど、この時の私には、不思議ともう音楽しかないという感じだった。
私もあんな風に歌いたい。
それが歌手を目指すきっかけだった。
今にして思えば、あの出会いが無ければ、私は音楽に 関わることなく生きていたかもしれない。それほどまでに、私にとっては衝撃的な出来事だった。
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