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縁を撒く種
「ようこそ、サンセットランドへ!」
スタッがにかっ、と恐ろしいくらいの笑顔を見せた。俺は、そのスタッフに事前に購入していたおとな2枚分のチケットを手渡した。サンセットランド。サンセットの意味は夕方。なんて思い出しながら。
「ねー、優斗君、観覧車がゴウンゴウン回ってるー!凄いっ!」
「ゴウンゴウンって擬音、何?wwま、確かに楽しみだな、草間。」
「縁種って呼んでよ、名字じゃなくて!リピートアフターミー、縁種!」
「縁種!」
「よしっ!」
今日もポニーテールが似合っている、俺の彼女、縁種。無地の白Tシャツと鼠色ジーンズ、白のスニーカーにポニーテールというシンプルな服装。
だが、それが彼女の幼く、可愛らしい顔を引き立てている。
……彼女は大学生だと言わなければ中学生とでも認識されるだろう。
「うぉぉっ、あれ!ジェットコースター、はっやあぁぁい!!!優斗君見てぇぇ!」
……このように。彼女は精神年齢が小学生。否、幼稚園児か保育園児、と思えるくらいなのだ。可愛いけど!
__と、何やかんや思考を巡らせていると、ようやくスタッフが、
「お待たせしてしまい、すみません、どうぞ!」
と、言った。そして、彼は1日乗り放題カードを渡すと共に、入口となるゲートを指差した。
……チケット渡されるの、遅かったな。何かの確認か?不具合でもあったのだろうか?
「優斗君、行こ行こ〜!」
モヤッとしている種は、右腕をぐっと引っ張ってきた縁種によって取り除かれてしまった。取り除かれて、というより無理矢理放り捨てられた、かもしれない。
陽気なBGMが近づいてくると共に、さっきのスタッフが叫んだ。
「いってらっしゃい、特別な一日を!」
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